2022年度理事長 保川 貴俊
一般社団法人茂原青年会議所(以下JCI茂原)は、1959年の設立以来60年を超える歴史を刻んでまいりました。この長きに渡り地域に必要とされる存在として認知されているのは、諸先輩方が「明るい豊かな社会の実現」のため「奉仕・修練・友情」の3信条のもと情熱をもち地域のために御尽力された結果です。心より感謝と敬意を申し上げます。
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行により、当たり前であった生活の多くが一変し、日常的なマスク着用、リモートワーク並びにソーシャルディスタンス保持等の新たな生活様式が求められています。また、発生から2年が経過しようとしている今でも「緊急事態宣言の発令」「まん延防止等重点措置の適用」並びに飲食店の営業規制等を行うことで感染者数を制御し、ウィズコロナの新たな時代へ歩みを進めています。一方、新型コロナワクチン接種率向上並びに新薬開発の進展により、感染収束に向けての希望の光がみえてまいりました。
以上のような世の中の変化に迅速かつ的確に対応し、地域のために主体的に行動することを忘れず、地域住民一人ひとりが活躍できる社会を創るため1年間日々懸命に活動してまいります。
本年度、茂原JCは『勇往邁進 ~今日という日の花を摘め~』というスローガンのもと活動を展開してまいります。
『勇往邁進』とは「困難から逃げず、勇ましく、ひたすら前進する」という意味です。生きていると様々な困難に直面することがございます。その困難に力の限り真っ向から立ち向かい努力した暁には、これ以上ない充実感と達成感がございます。「楽(らく)」と「楽しい」は同じ漢字を書きますが、「楽」をして人生の本当の「楽しさ」を感じることはできません。本当の「人生の楽しさ(幸福)」とは、困難に立ち向かい克服したのちに感じることができるものであると確信しています。また、勇往邁進の精神を貫いたのちに生まれる失敗は、必ず次の成功のための貴重な材料となります。私は、JCI茂原の会員全員に、仕事・家庭・JC活動の全てに日々勇往邁進していただき、逆境を乗り越えたのちに必ずやってくる幸福という成花(成果)を摘んでいただきたいという想いでおります。私自身も理事長として、会員一人ひとりが日々の挑戦で勝ち得た成花(成果)という自信を胸に、未来に向かって新たな種を撒き、自己成長していけるような組織の醸成を目指してまいります。
我が国の人口は2004年にピークを迎え長期的な減少過程に入っています。およそ30年後、日本の総人口は1億人を割ると推計され、千葉県の高齢化率の伸びは他都道府県と比較して顕著になるといわれています。以上の社会現象は、地域の担い手の減少に伴うコミュニティの維持困難、医療や介護を中心とした社会保障に関する給付と負担のバランス崩壊、並びに出生率減少による子供同士の交流機会減少に伴う社会的発達への影響等、多様な課題に直結します。
このような社会情勢のなかを生きる我々青年経済人は、皆で地域を守り育てるため、様々なステークホルダーと連携し『共創』を牽引していく必要があります。共創とは「多種多様な人々及び組織が、これまでにない新しい組み合わせで新たな価値を生み出し大きな変化を起こす」ことを表します。「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」という言葉のように、地域レベルの大きな問題を解決に導くのは地域住民皆の共創であります。共創を実現するためには、立場や領域を超えた人々及び組織が繋がり、共創について共通認識をもつことが最重要になります。そこで本年は、長生郡市内の行政機関、企業等の様々な組織に所属する方々に、専門家の講演を通して共創の考え方を学んでいただくことで、皆で助け合い地域を創っていくという雰囲気を醸成してまいります。そして共通認識をもった「産・学・公・民」が共創し、地域の身近な課題について様々な視点から解決方法を検討していただく場を設け、まとまった意見を行政に意見書として提出いたします。以上から、共創コミュニティの計り知れない将来性を一人ひとりに実感していただくことで、長生郡市共創社会の実現を目指してまいります。
我々の活動地域であります茂原市は1952年に茂原町・東郷村・豊田村・二宮本郷村・五郷村・鶴枝村が合併することにより誕生し、今年度施行70周年を迎えます。また、オーストラリアのソルズベリー市と姉妹都市を結んで20周年の年でもあります。このような節目の年に、市民に茂原市の歴史について理解を深め、今後の茂原市のあるべき姿について考えていただくことは、市民の茂原愛(地元愛)醸成に必要不可欠であります。そこで市民から、茂原市の歴史について知りたいこと、より住みやすい街にするために市に提案をしたい内容について意見を募ります。その結果を踏まえ「茂原市の歴史と今後の茂原市」と題した、茂原市長との対談を行い、市民の意見を市のトップである市長に伝えてまいります。また、対談内容をYouTube等のSNS並びに新聞折り込み等の手段を併用することで幅広い世代へ発信し、より多くの市民に茂原市の魅力と今後の茂原市の進むべき方向性について伝えることで、市民の更なる茂原愛の醸成を目指してまいります。
JCI茂原は、昨年度、近年では最も多い新入会員の方々を迎え入れることができました。しかし、諸先輩方が築いて下さった伝統を次世代へ継承し、地域の社会問題解決に向けて共創することのできる強固な組織を創っていくには、更なる会員拡大が必要不可欠です。そこで今年度は、現役会員のみでなく、我々の宝でありますシニアクラブの先輩にもご協力いただき、地域の繋がりを最大限活用することで、現役会員とは異なる専門分野をもつ会員の拡大を目指します。そして、来年度創立65周年を迎える年に、共創により多様な視点から課題に立ち向かうことのできる、50名の組織となることを目標といたします。
強固な組織を創るためには会員拡充も必要不可欠です。そこで、入会歴の浅い会員に、早くJC活動に慣れ、自らの力を存分に発揮していただけるようにメンター制を設けます。JCI茂原の現役千葉ブロック役員経験者及び理事長経験者に各委員会に積極的にご参加いただき「地域貢献」「JC活動を通じた成長」「志を同じくする会員同士の友情」の3項目について、ご指導を仰ぎます。このように経験のある会員と入会歴の浅い会員が連携することで、会員の拡充を目指します。
近い将来Society5.0の時代が到来するといわれています。Society5.0とは、情報社会(Society4.0)の進展により実現される「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」です。ドローン配達による物流機能充実、オンライン診療による医療地域格差是正、並びに自動運転による交通利便性の向上等、人々の生活レベルは向上します。
しかし言い換えれば、これまで人の手によって行われていたサービスがAI技術とテクノロジーの力によって代替されるということです。このような社会を生きる子どもたちに共通して求められるのは、人間ならではの感性を最大限活かしていくことであると考えます。現在、小中学校で全面実施されている「新学習指導要領」においても人間独自の素養である「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」「学びに向かう力、人間性」が学ぶべき3つの柱として上げられています。そこで今年度は、子供たちに人間独自の感性を養ってもらうため、事前に物事の結果について仮説を立て、その仮説について皆で意見を出しながら検証し、自らの言葉で考えを表現してもらう場を設けます。以上から、Society5.0の時代を生き抜く力強い青少年の育成を目指してまいります。
私はJCI茂原に入会以来、委員長、副理事長、そして千葉ブロック協議会への出向を通し、様々な役職に挑戦し、自らの成長に繋がる貴重な経験をさせていただいております。今年は、活動地域である茂原市の施行70周年でもある節目の年に、諸先輩方が築いてこられた伝統あるJCI茂原の第64代理事長の職を仰せつかることとなり大変身の引き締まる想いでおります。24時間365日理事長であるという自覚をもち、また、壁に直面した時でも勇往邁進の精神で臨み、活気のある長生地域の実現を目指してまいります。
一人ひとりが自分らしく生きる